マナスルで出会った美しい魂たちの話

こんにちは、さかいみる です♪

今日は、先日ヒマラヤ山脈のマナスルベースキャンプに行く途中の村で、メチャくん絵本を子供たちに渡してくれた友人ライト(ニックネーム)の話に感動したので、みなさんと感動を分かちあいたいなぁと思って書いています。

1時間くらいの会話の中からいくつか抜きだして、つなぎあわせてみました♪
ちょっと長いので…のんびり読んでいただけるとうれしいです☆

はじまり はじまり…♪

ある日、メチャくん絵本を持ってマナスルベースキャンプに旅立ったライトから少し興奮気味にメッセージが送られてきました。

「今日、少し標高が低い地域まで下りてきたよ。マナスルの子供たちはメチャくん絵本をとっても喜んだんだ!みる、僕は感動したよ。」

そう言って標高3,500mくらいにあるマナスルの学校まで絵本を運んでいる写真を数枚送ってくれました。

仰天しました。

そこに写っていたのは、山の中腹あたりのような、かなりの急斜面に灰色のゴツゴツした大きな岩が無数に突き出している、全く道に見えない道でした。そこを自分たちのバックパックの上に、さらに絵本を入れた袋を担いで登っています。
雲がすぐ近くを漂っていて、冷たい雨が降っているのが写真からでも見てとれます。岩の大きさに比べて人があまりに小さくて、まるでジオラマを見ているような錯覚を起こしました。

そしてその中には標高5,000mくらいの写真も混ざっていました。うすい色彩のうっとりする夢で見るような風景。
標高がものすごく高い場所の色だ…。

びっくりしながらじっと写真を見ていると続けてメッセージが流れてきました。

「マナスルは日本の登山家に愛されてる山なんだよ、みる。マナスルの初登頂は日本の登山隊なんだよ。」

「えっそうなの?全然知らなかった。」

相変わらず何も知らない私なのです☆

「今やメチャくん絵本がマナスルにある。やった!」

と、ライトがとてもうれしそうなので、「マナスル」という名前を初めて聞いた私でもじわっとうれしくなりました。
彼は去年はエベレストにメチャくん絵本を持って行ってくれたのです。

「この学校ではね、ある素晴らしいラマ(チベット仏教のお坊さん)が子供たちに無料で教育を受けさせて、無料で食事や衣類も提供しているんだよ。すごいことだよね。」

そう言ってから届いた写真を見ると、チベット仏教の僧衣に身を包んだお坊さんがこっちを見て優しく微笑んでいました。

「みる、僕はこの旅で美しい魂にたくさん出会ったんだ。そして本当に旅の全てが大冒険だったんだよ!カトマンズに戻ったら全部話すからね。」

「うん、楽しみにしてるよ。残りの旅も楽しんで!そして気をつけてね。」

それから数日後、彼はカトマンズに無事戻ってきました。

写真を送りながら、早く話したくてたまらない空気を乗せてメッセージもどしどしやってきました。

「僕はマナスルの村の人々がとても謙虚だと知ったんだ。勤勉で、そしてとても寛大なんだよ。ここでの生活は本当に厳しいと思う。それでも、彼らは互いに助け合って、物事をよくしている。彼らは僕にアリたちの姿を思い出させたんだ。家族を養うために朝から晩まで働いている。」

「きれいな魂にいっぱい会ったんだよね。」

まだ旅の途中での会話を思い出して言いました。

「そう。それが僕が旅する理由なんだ。新しい魂と出会うこと。それはとても素晴らしいことだよ、みる。そしてマナスルの彼らは欲からほど遠い。彼らは希望だと感じたよ。」

「うん、想像できるよ。とっても素晴らしいことだとおもう。」

「僕たちがその村に着いたとき、村ではフットボールトーナメントが行われてたんだ。その学校は3番だったよ。それでね、びっくりしたんだけど、学校の人たちは3番を祝うために村の人全員をよんでお祝いしたんだ。僕たちも夜、学校に行って一緒に夕食を食べて村のみんなと一晩中踊ったんだよ。」

「うわぁ!標高3,500mでフットボール大会して一晩中踊るんだ!それもすごいね!」

ライトはへへへと笑って、

「古代のチベット風の歌で、こんな感じ。」

と、古代チベットの歌を歌いながら楽しそうに踊っている人たちの動画を探して送ってくれました。
美しい色あざやかな民族衣装に身を包んだ人たちが、盆踊りのようなフォークダンスのような踊りを笑顔で踊っています。私が大好きな素朴な踊り。

「一晩中だよ。彼らは歌い、笑った。それは美しかった。」

あぁ、本当に美しかったんだろうな…。その光景が花が開くように鮮やかに私の心に浮かびました。
そしてもう一度ゆっくり読んでみました。

「かれらはうたい わらった それはうつくしかった」

きれいな言葉たちが結晶になってふわりと空気の中に消えていったように感じました。澄んだ言葉は空間をも清らかにするみたい。

次に送られてきたのは、ものすごく大きな、畳2枚分くらいあるような板を背負って、ゴォゴォと音が聞こえてきそうな川に架けられた、小さくてちょっと頼りない感じの橋を渡っている人の姿や、長さが3mくらいありそうな木材を頭と背中で支えて崖を黙々と登っている人の写真でした。

「この写真の人たちは一日中こうやって荷を運んでるんだ。チベットからずっと歩いてね。この村はチベットから近いんだよ。」

「顔がチベットの人に似てるもの。」

「うん、彼らはもともとはチベット人だよね。戦争中にネパールに移住して、それからずっとここに住んでいるんだよ。」

それから目にしたのは可愛らしい石造りの家の写真でした。
2017年に標高3,800mのムルマトップに登る途中でよく似た家を見たことを思い出しました。私はこの石でできたお家を見るのが好きでした。ひとつずつ小さなうすい石を並べながらコツコツと村人たちの手で作られたお家。とても愛おしく感じます。

「ムルマトップに行く途中の家によく似てるね。石造りなのは標高が高いところだから?風が強くて寒いから?」

彼もムルマトップに登ったことがあるので聞いてみました。

「うん、よく似てる。それから、う~ん、ここでは家を作る材料が石しかないんだよ。石を使うしかないんだ。」

「あぁ、そっか。そうなんだ。」

「石を使う。」というのと、「石を使うしかない。」というのでは出来上がったものが同じでも石の重みがちがうような気がしました。

「ライトが標高5,106mにいた時、私たちは標高2mくらいのところにいたよ。」

この時、私と修一郎と友人たちはちょうど天草の海のすぐ近くにいたのです。

「日本は海があるね、海と山。両方一緒に見たなら、どんなに高い山のてっぺんも最初は地面から登るんだってことを思い出させてくれるね。」

「標高5,106mで呼吸できた?」

「大変だった!でも、てっぺんに到達したら息をするのを忘れるよ、みる。喜びでいっぱいになってさ。」

「きっとそうね!」

「でも本当のこと言うと、5000m以上の山は初めてだったし登るのは大変だったよ。とても厳しかった。」

そうだろうなぁと思っていると、この後ライトからびっくりするような話が流れてきました。

「その日は雨が降ってたんだ。そして風がとても強かった。僕のバックパックは雨でずぶ濡れだった。レインコートでもあの強い風や雨に耐えられなかったんだ。初めて写真を一枚も撮れなかったよ。とても疲れてたし、僕のバックパックは15キロを超えてたんだ。僕たちは無事にベースキャンプまで行けるか心配だった。でも歩き続けたよ。もしここで僕が歩くのをやめたら仲間も止まるだろうということがわかっていたから。震える寒さの中で、そしてそんな高い標高で休むのは危険なんだ。だから歩き続けた。」

ライトはここまで一気に話しました。
私は話を聞きながらドキドキしました。もう彼は無事にカトマンズに戻っているのだけれど、この時の緊張した感じが伝わってきたのです。

「それでね、驚いたんだけど、誰かが馬に乗ってやってきた。それはあの村の人だった。僕たちが無事か確認するためにやってきたんだ。僕たちが大丈夫なのを確認して彼は持ってきていた熱いお茶を僕たちに飲ませてくれたんだ。彼も一緒に飲んだよ。」

私もびっくりすると同時にほっとしました。

「彼は雨の中、馬の背中に僕たちのバックパックを乗せて運んでくれたんだ。そして僕の友人の一人も馬に乗せてくれたんだ。」

あぁ、あれがその写真だったんだ…。と、最初にまとめて送ってくれた写真の中にあった、落ち着いた感じの白い馬たちが雲の中を並んで歩いている姿を思い出しました。

「それからさらに1時間歩いてやっとキャンプに着いた。僕たちの洋服も荷物も全部雨でずぶ濡れだったでしょ。そしたら何人かの村の人たちが僕たちに彼らの洋服をくれたんだよ!上着、ズボン、シャツ、ベルト…。」

「とてもありがたかったよ、みる。感謝の気持ちでいっぱいだった。僕は彼らを決して忘れないよ。彼らがいつも安全で、そして健康で、山が彼らを祝福するようにと願ったよ。」

「うん、うん。本当に優しくてあたたかい人たちだね。」

「それからね、僕たちは旅の間でほとんどお金を使わなかったんだ。僕たちはほぼ毎日彼らの食事に招待されたんだ。そして僕たちは村の人の家に泊まっていたんだよ。僕たちはどうにかして彼らにお金を払いたかった。でも彼らは受け取ってくれなかったんだ。」

「僕たちは僕たちがお世話になった全ての家の人たちから祈りを贈られ、チベタンショールと旅に使うお金まで持たせてくれたんだ。そしてそれが彼らの伝統だと言ったんだ。とても断れなかったよ。僕たちは感動して彼らをぎゅっと抱きしめたんだ。みる、想像してみて。彼らの家に泊まって、彼らが旅のお金を持たせてくれるって。とても申しわけない気持ちだった。」

とてもびっくりしました。もしかしたらもう次に会うことはないかもしれない初めて会った旅人に、家族のようにお家と食事、衣類と旅の費用まで持たせてくれたということ。一度見送った彼らを雨の中心配して馬で追いかけてきてくれたこと…。
経済的には豊かではないけれど、彼らの心のあふれる豊かさに胸が熱くなりました。

「そして村全体がどんな魂も奪うことを許していないんだ。だから村全体が何らかの形で菜食主義なんだよ。マナスルのトレックは僕が今まで経験した他のどのトレックともちがった。人々がとても美しかったよ。他のトレッキングルートはエキゾチックなホテルでいっぱいだ。でもここは純粋だった。愛でいっぱいで、伝統があって、そして笑顔でいっぱいだった。」

彼は何度も「愛でいっぱいだった。」「笑顔でいっぱいだった。」と、くりかえしました。

「あぁ、純粋な愛と笑顔でいっぱいだったんだね。あぁ、本当に美しい魂にたくさん会って、そして素晴らしい冒険をしたんだね。よかったね、ライト。」

「うん。」

「それに、あなたのハートもきれいだから、彼らのことをそういう風に感じられるんだと思うよ。」

と、言ってから、彼は自分のことを良いように言われると返事をしないで話題を変えるクセがあることを思いだしました。

「それからね、僕はビンテージカメラを持っていったんだよ。ニコンのね。」

「フィルムカメラ?」

「そ。フィルム。歩道が古くてね、全てがまるで古代の景色のように見えてた。そんな旅とビンテージカメラが合ってて、なんだか時間をさかのぼって旅したような気がしたよ。」

彼の優しいちょっと泣いたように笑う顔が浮かびました。

「まるで古い映画みたいだね。」

彼の冒険物語を聞いた後、まるで、惜しみなく差しだされた清らかな水をたっぷり飲んで、体と心の隅々まで潤ったような気がしました。

ただただ感動しました。私までマナスルの村に行ったような気持ちになりました。そこで美しい魂たちと出会ったような…。そんなにも素朴で純粋で優しい人たち。ここでの喜びはとてもシンプルなことなのだろうと感じました。この村の子供たちがメチャくん絵本を読んで喜んでてくれている。そう思うだけで胸がいっぱいになりました。

あぁ、私もいつかマナスルに行ってみたいな。そして村の人たちに混ざって歌って踊って笑うんだ。

私がしみじみそんなことをおもっていると、彼は続けました。

「本が少なくて図書館のないこの村で子供たちは絵本を本当に喜んでくれたんだ。彼らは手紙を書きたいと言ってくれた。絵本deえがおの活動を、メチャくん絵本を作ってくれてありがとう。絵本deえがおのプロジェクトの背後にあるすべての作業の大変さを想像できるよ。みるたちはいつも僕の祈りの中にいるよ。」

祈り。ネパールの友人たちの口から自然に「祈り」とか「祝福」という言葉が出てくるのには毎回本当に新鮮な喜びを感じます。そこには「何かあった時だけのためのもの」という感じはみじんもなく、自然な感じで語られるのです。身についているというような感じ。部屋の窓を開けて空気を入れ替えるというような、自然な動きでできる日常の中の良きこと。みたいな感じなのです。

「ありがとう。私もいつもあなたたちのこと祈ってるよ。」
そう言って、彼と彼の大切な人たちの心がいつも平和と喜びで満たされますように。と心の中で祈りました。

そして、あぁ、私たちは生きているんだな。生きるということはつなぎ目のない体験の流れそのもので、それはいのちそのものなんだと、またしみじみ感じました。

「彼らは歌い、笑った。それは美しかった。」

美しい言葉たちとともに。

おわり


と、いうことだったのです。まだまだたくさんの話をしたのですが、またの機会に書いてみたいと思います♪

そして、絵本deえがおの活動を続けてゆけることに、サポートして応援してくださる全てのみなさまに感謝の気持ちでいっぱいです。
今、毎日せっせと新作絵本のラフの制作と、ネパールの出版社から出版される分の手直しをしているところです!

ではみなさま暑さに気をつけて楽しい夏をおすごしください♪

今までの記事をタグで整理してみました。

*2018年ネパール滞在記全20話はこちらから。
*2017年ネパール滞在記全24話はこちらから。
*投影劇場シリーズはこちらから。
*心についてはこちらから。

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