9月2日の朝、小鳥たちの歌声とともにビギャンの家で目を覚ましました。
チャンドラとプラカッシュもやってきて、みんなで朝ごはんをいただきました。そうこうしているうちにビギャンの親戚の人や子供達、近所の人たちもやってきて、みんな当たり前のようにビギャンの家で家族に混ざってワイワイ朝ごはんをいただきました。
そして、みんなでゲストハウスまで送ってくれました。
ティミのお祭りは昨日で終わりだったので、ティミの友人たちは今日から仕事です。
明日日本に帰るから、ここで「ありがとうとサヨナラ」を言って仕事に行く彼らを見送りました。
お別れの前の少しせつない空気と、お祭りが終わった後の少しさみしい感じってちょっと似てるかもしれない。と、思いながらゲストハウスのドアを開けました。
でもそうしんみりしてはいられないのです!
なぜなら、今日はここバクタプルのお祭りの最終日!実は、私はアンジュの従姉妹に借りた、あのサルエルパンツの民族衣装がとても気に入り、なんとなんと、仕立ててもらったのです!
それは数日前のこと…。アンジュに
「あの民族衣装、本当に素敵ね。次に来た時作りたいな。」と、話すと、
「じゃぁ、今から作りに行こうよ!みる!」と。
「えぇっ!でも、もう3日後には日本に帰るんだよ、アンジュ。」
「間に合うと思う。とにかく行ってみよう。」
と、私の手をとって仕立屋さんに連れて行ってくれたのです。
そして、なんとなんと、2日で仕上げてくれたのです!
なのでこのお祭りの最終日に、その出来上がった衣装を引き取りに行って、そこで着替えて、そのまま踊りに参加しようということになっていたのです♪
その時に髪飾りとピアスも購入しました。シルバーのネックレスとアンクレットは高かったので購入せず。
そしてアンジュが赤いネックレスとブレスレット、赤いお花の髪飾り、三つ編み用のつけ毛とビンディをプレゼントしてくれました!
そして、真っ赤な口紅とマニキュアも貸してくれたのです。
さて、仕立屋さんに行く前に、あの手強いピアスを先にしておいたほうがいいということになりました。(時間がかかるのでね☆)
でもこのとき、私はちょっと自信がありました。なぜなら、ビギャンの家では割とすんなりと通ったからです。
ところが…。
せっかくこの日のために手に入れたピアスがまたまた全く通る気配がないのです!ビギャンのママに借りたピアスと同じタイプのものなのに!
半泣きの私を見かねてアンジュが「通してあげる。」と、トライ。でも入らずあきらめ、次にラップが(インディラの妹)「貸してごらん。」と、トライ。
「ギャァ、いたい、いたい、いたい〜〜〜!!」
ラップが「チッ。」と舌打ちしながら(なぜ舌打ち☆)紙ナプキンを私の耳たぶに当てると、ち、血がっ!!
みんなで騒いでいるのをじっと見ていたアンジュの友人のビークラムが
「オレが通してやるぜ。」と。
もう半泣きを超えて本泣きになっていた私が
「もういい。ピアスなくていい。」と、ぐずると、みんなが
「みる、美しくなるということは痛いものなのよ。」と。
そんなことないと思う〜〜〜ぎゃぁあぁ〜〜。
と、無事貫通したのでした。
トンネル開通のように、拍手喝采と、頭の中ではくす玉がパカッと割れて鳩が飛び出しました☆
消毒もなくて、血が出るほど無理に、長年していなかったピアスの穴を貫通させて腫れたりしないかな…。と、ちょっと心配でしたが全く大丈夫でした☆
そんなこんなで、笑顔を取り戻し、仕立屋さんへGO☆
仕立屋さんでは、ふくふくした奥さんが衣装とともに待っていてくれました。そして、一言。
「大きくなったときのために、大きめに作っといたから。」って…。
もう大きくなることはないと思う…。40代だし…。
気を取り直して、着せてもらい、ちょっと大きいけれど大丈夫でした♪
髪もゆってもらって支度していると、近所の人たちが珍しそうに集まってきました。









そして、踊りを心ゆくまで楽しんでから少しお腹がすいてきた私たちは、おやつを食べることにしました。

これはネワール料理のうちのひとつ、「バラ」といいます。日本のお好み焼きのような感じです。味は生地自体にスパイスが効いていて、辛すぎず美味しいです。ひよこ豆のような豆が乗っています。これもスパイスが効いています。アンジュのは卵入り。



アンジュとバラを食べながら、そして迷路のようなレンガの道を歩きながら、いろいろな話をしました。
ネパールでは、結婚式の時は衣装が赤と金色。そしてお葬式の時は白なのです。
日本は今は結婚式ではいろいろな色を着るけれど、基本は白なんだよ。お葬式は黒だよ。と話すと、とてもびっくりしていました。
文化や風習の違いってお互いに面白いと思うようで話がはずみます。
そして、長く遠距離恋愛中の恋人の写真を見せてくれました。背がすらりと高いその彼と、来年結婚できるかもしれないということを嬉しそうに甘い秘密のように話してくれました。ハチミツみたいに可愛い笑顔でした。
ゲストハウスまで送ってくれた彼女の背中を見送りながら、この可愛いらしい若い友だちの、花のように美しい夢がどうか叶いますようにと心のそこから祈りました。
ドアを開けて中に入ると、アルーンが、
「みる、今日はお祭り最後の夜だから、前の広場で夜遅くまで面白い踊りがあるよ。それをよく見れる部屋が空いてるから、そこから見るといいよ。」
と、言ってくれて一気に気持ちが高まりました☆ さすがアルーン、だてに志村けんと座頭市が好きなわけじゃないね!(意味不明☆)
その前にチョコレートマフィンを食べておこうとラップにお願いして、ゲストハウスのドアのところから何気なく外を見ていると、
「Hi、みる。」と、聴き覚えのある声。
プラカッシュが相変わらずの優しい笑顔で手をあげていました。朝、もうお別れはすんだと思っていたからとても嬉しくなりました。
自分用の衣装をちょっと自慢して、大股でサルエルパンツのユニークさを説明して、近くにいたアルーンのお姉さんたちに笑われたりしながらいると、ラップが「チョコレートマフィンの用意ができたよ。」と、中から声をかけてきました。
そしてプラカッシュに2度目のサヨナラを言って中に入りました。
夜の踊りが始まるまで、3歳になるインディラの娘ルニバと一緒に、ざるをかぶってカフェで踊りながら大笑いをして、チョコレートマフィンを食べて、レモングラスティーを飲んで、そして、じわじわとやってくる喜びをかみしめながら特等席のあるお部屋へ階段を登ってゆきました。
つづく。
*2018年からのネパール滞在記全20話はこちらから♪
*2017年までのネパール滞在記はこちらから♪
*5月、絵本deえがお美術館で「さかいみる ネパール滞在記 茶話会」開催予定です!スクリーンで美しい写真もたっぷり観ていただきたいと思います。